がんばります福島県農業!二本松農園ブログ

全国の皆様の応援をいただきながら風評被害と戦っています。~「助けたい」が経済を支えようとしています。~

野菜の価格はどのようにして決まるのか

私は、風評被害で福島県野菜の流通が止まっている、とよく書きますが、ブログの読者から「野菜の流通と価格の決め方自体がどのようになっているのかが分からない。」というご質問をいただきました。以下、私が把握している範囲で説明をさせていただきます。

そもそも福島県野菜を首都圏に出荷する場合、2つのケースがあります。
(ケース1)市場に出す・・・価格変動が伴う
東京で言えば、毎日「大田市場」に持ち込む場合です。二本松産きゅうりは次のような流れで消費者に届きます。
朝二本松の農園できゅうりを収穫⇒午前11頃までに近くの集積所に持ち込み
⇒他の集積所の分も集めて大型トラックで夕方東京に向け出発⇒次の日の朝大田市場到着⇒せり【ここで価格が決まります】⇒仲買人⇒小売バイヤー(デパートも含まれます)⇒店頭へ
大田市場の「せり」の際に、東京におけるその野菜の欲求度合に応じて価格は変動してきます。たとえば、福島県産きゅうりで言えば、A級5kg(約50本)の場合、昨年の例で言えば、最低で1000円~最高2700円ぐらいもの価格差があります。これは一日での価格差ではなくて、たとえば昨年で言えば、お盆前までは安くて1500円程度だったのですが、お盆すぎには日照りで品薄の影響もあったのでしょうか2700円ぐらいまでupしました。変動の要因は、株が毎日変動するように、消費量、流通量等によって大きく変動しますので、それを予想することは極めて難しいです。
また、きゅうり1000円の場合、農家の手取りを見てみましょう。東京まで輸送してもらいますので、1000円から15%程度の手数料が引かれます。段ボウル、鮮度パック、梱包テープもばかになりません。結局農家の手元には、1000円から250円程度引かれて750円ぐらいになります。これが商売で言えば「荒利益」ということになりますが、ここから、収穫のパート代、冬は重油代、そして農家の手間賃を引くと完全に赤字ということになります。現在福島県産きゅうりの価格は、この5kg1箱1000円のライン(場合によってはそれ以下)にあります。私が「危機的状況だ」と言っているのはそこの部分を言っています。通常、きゅうりであれば、1箱平均A級で言えば、1800円以上はないと経営は成り立ちません(二本松農園の場合)。ちなみに、きゅうりはJAの場合ですが、形、キズ、大きさの度合いによりA級・B級、C級、AL級、L級、規格外に分かれます。
もちろんA級が一番高く、規格外はかなり安いということになります。(味は同じですが)
A級とC級の価格差は、通常2倍程度あります。たとえばA級が1800円であればC級は900円ということになります。
ただし、きゅうりの5kgが700円程度以下に下がりますと、もう資材代や東京まで運ぶメリットもなくなってきますので、出荷自体ができなくなることもあります。
一方、大田市場で買い付けられたきゅうりは、その後店頭に並ぶまでは、仲買、バイヤー、お店の方針によって個別に変わってきますので、一概には言えませんが、通常はどんな商品もそうですが、店頭に並ぶまでは市場の倍くらいの価格になります。
これが市場経由の価格変動型の例です。

(ケース2)スーパー・デパートなどに直接販売する・・・価格変動が少ない
季節当初に、スーパーなどと農家とが直接契約をして価格を決めて、定量を出荷するものです。手数料等もその契約の中で個別に設定されます。これは、価格の変動が少ないですので、農家は安定的な経営が可能ということになり、できればこの方法で行きたいところですが、次のようなデメリットもあります。
市場は価格は高騰することもありますが、こちらの場合はその恩恵はないこと。
定量を出荷できないとペナルティが課せられることがあること。
もともとスーパーやデパートとの取引は交渉力や経験が農家に求められること。

以上2ケースについて説明しましたが、できれば安定的な農家経営のためには、ケース1と2を組み合わせることが理想と言えます。商品取引に現物と先物があるのと同じ理屈です。

以上二つのケースの他にインターネット等を使って受注をし、農家が消費者に直接野菜を届ける方法もあります。二本松農園が行っているシステムもこれに近いのですが、「がんばろう福島!」のシステムは、二本松農園の野菜だけでなく、福島県内でお困りの農家の分も取り扱っていることに大きな特徴があります。
インターネット直販の場合は、上記のような大量輸送、市場、仲買、お店をすべて飛ばしていきますので、農家が出したい価格で(消費者のニーズを勿論ふまえながら)設定し、消費者にほとんどが2日以内に新鮮なものを届けられる、消費者と直接結びつくことによりお客様の声が農家に届けられるので「新鮮でおいしかった」などという声で農家は喜びを得られますし、逆に「こんな部分は直した方が良い」というご指摘は農家の勉強にもなる、という大きなメリットがあります。
ただし、次のような課題もあります。
元々、野菜は単価が安いものなので、少量ですと、ほとんどが宅配料ということになって割高となってしまう。たとえば極端なことを言えば、きゅうり2本で普通店頭で100円で買えるものが、宅配料を含めると600円にもなってしまうことになります。このため、セットものやロットを大きくして、少なくとも、1500円以上ぐらにしないと成り立たないということになります。また、ショップのシステムは、代金回収を安全にするため、通常システム会社のものを導入しますがこれの使用料・一部販売手数料、さらにはカード会社への手数料がかかり、これらを合わせますと、結構のものになります。

ちなみに、二本松農園の行っているネットショップの価格設定は、
農家にまず必要な手取価格を提示いただき(風評被害前の経験値)、それに宅配料、システム使用料を加えたものをネット価格としています。
結局、ここ1カ月半の経験から言えば、農家は必要な手取額が確保でき、もろもろの料金を加えたとしても、消費者が通常店頭で買う価格とそんなに変わりないものとなっていると思います。ただし、前述のようにロットの大きさは申し訳ないのですが・・。
ネット販売の最大のメリットはなにせ「新鮮な野菜」がお手元に届くということです。
これで、約3割の方がリピートいただいています。

以上が野菜の価格設定の概要ですが、やはり膨大な福島県野菜の出荷量から言えば、
ケース1⇒ケース2⇒(流通量のほんの一部で)インターネット販売
ということになります。しかし、福島県野菜は、現在、ケース1・ケース2が止まっている状況(残念ながら仲買、バイヤーのところで止まっているようです)ですので、少しでもインターネット販売の量を増やす、イベント販売も行う、場合によっては、首都圏に農家自体が直接お店を出して乗り切るしかない、という状況なのです。

福島県農家は何回も言いますが、危機的状況です。今後も色々な行動でこれを何とか乗り切っていく必要があります。今後とも全国の消費者の皆様の応援をよろしくお願いいたします。
(平成23年5月16日 二本松農園 代表 齊藤登)
スポンサーサイト
  1. 2011/05/16(月) 07:27:46|
  2. 震災
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<5月15日、支援きゅうりを発送致しました | ホーム | 本日も被災地支援きゅうり発送致しました>>

コメント

東京のスーパーで売ってました!

今日、近所のスーパーにて、福島産のアスパラガスと三つ葉が売ってました!
嬉しくて、野菜を買うつもりじゃなかったけど買っちゃいました(笑)
ちなみに、品川区です。大田市場から仕入れているようです。
  1. 2011/05/16(月) 21:50:07 |
  2. URL |
  3. M #L6L1d2IA
  4. [ 編集 ]

詳しいご説明ありがとうございました

被災地支援きゅうりの展開に、また今後の打開策などの検討にと、日々どんなにお忙しいことかお察ししますが、折々にこうして状況を説明して頂けると、とてもありがたいです。


  1. 2011/05/18(水) 00:38:39 |
  2. URL |
  3. jyk #2rjqncdg
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://nihonmatufarm.blog65.fc2.com/tb.php/184-6df988ca
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

二本松農園

    follow me on Twitter

    月別アーカイブ

    プロフィール

    福島県二本松市の里山ガーデンファーム・二本松農園です。 長年きゅうりを作ってきましたが、2010年4月からWEBショップ、きゅうりもぎ取り体験も始めました! ブログ担当スタッフSは福島初心者です。 日々の発見を綴っていこうと思います。

    【福島県】里山ガーデンファーム 二本松農園 代表 齊藤登

    Author:【福島県】里山ガーデンファーム 二本松農園 代表 齊藤登
    FC2ブログへようこそ!

    最新記事

    最新コメント

    最新トラックバック

    カテゴリ

    レシピ (13)
    二本松農園 (182)
    未分類 (28)
    震災 (230)
    被災地支援きゅうり (94)
    仮設住宅 (1)
    取材 (4)
    ネットショップ (72)
    イベント (20)
    がんばろう福島、農業者等の会 (40)
    NPO法人福島県有機農業ネットワーク (4)
    お客様からの声 (3)
    たくの実 (5)
    スタディファーム (15)
    福島県の知識 (1)
    3Fシステム (1)
    オックスファム トレイルウォーカー (1)

    リンク

    このブログをリンクに追加する

    検索フォーム

    RSSリンクの表示

    ブロとも申請フォーム

    この人とブロともになる

    QRコード

    QR