長い道のりでした。
3月下旬に、いきなり二本松市と農協から「水田除染を農家自らが行って欲しい。」
と言われ、目の前が真っ暗になりましたが、なんか、農家は結局協力してやってしまうみたいです。
最近は、この地域(二本松市内の旧石井村)でも、兼業農家ばかりで、農業に関する団結心みたいなものは、
すっかり薄れているのかと思いましたが、「やろう!」ということになると、地域の人たち、若者はもちろん
じいちゃん、ばあちゃんも加わって、一大「水田除染作業」が行われたのです。
小さな水田に、地域の人たち20人ぐらいが入って、ゼオライト(除染のための鉱物)を撒いている様子もありました。
線量測定→ゼオライト撒き→ケイ酸カリとケイカリンを撒く→トラクターで耕う→線量を測る
の行程を、1カ月ちょっとでなしえたのです。
でも、できたからと言って、行政や農協は甘えないでいただきたいと思います。「農家は被害者なのに、田植えというタイムリミットをつきつけられ、実は大変な苦労の中で行ったのですから。」
福島県人の気質は、よく「言葉数は少ないが、内に秘めた情熱はある」と言われますが、今回はそれを見たような気がします。原発事故から1年と2カ月、福島県農業には、次々と予想できない試練が襲いかかってきますが、「やるしかない」と、ひとつひとつ戦っている農家の姿があります。
田植えまでには、様々な作業があります。水田を耕す、肥料を入れる、クロ(田んぼの周りの水をためるための小さい土手です)をぬる、水を入れる、代かき(水の入った水田をきれいに平らにする)、田植え。この間に、ハウスでは稲の苗の準備。
米という字は、八十八回の手間をかけるので、この漢字になっていると言われていますが、そのとおりです。
秋の収穫までには、まだまだ様々な作業が待っています。
でも、ようやく「代かき」までこぎつけました。
福島県有機農業ネットワークのご協力で、少しでも、セシウムを含んだ水を水田に入れないようにしよう、ということで、水口(みなぐち)には、ゼオライトともみ殻の入った浄水のための袋も設置しました。
去年、私の水田の米からは、放射能は結局検出されなかったのですが、より安全なお米をということで、このような作業も行いました。
写真は、今日の午前中、「代かき」をしているときトラクターの中からとったものです。
今日は、全国的に快晴。福島県農家にも、原発被害という雨から、いつか、風評被害のない「快晴」の日が来ることを願っています。これから、また「代かき」の作業に出かけます。
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http://www.nihonmatsu-farm.com/【福島県二本松農園 代表 齊藤登】
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- 2012/05/13(日) 13:23:54|
- 二本松農園
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