がんばります福島県農業!二本松農園ブログ

全国の皆様の応援をいただきながら風評被害と戦っています。~「助けたい」が経済を支えようとしています。~

福島県農業の現状~震災から今まで、そしてこれから~【まとめてみました】

震災から1年以上過ぎても、福島県農業者の先の見えない状況が続いています。
また、福島県農業が現在、本当はどのような状況にあるかは、全国に世界に伝わっているようで、伝わっていない部分がありました。そもそも福島県農業の位置づけ、震災の影響、それに対する行動、現状、そしてこれから取り組むべきこと、を整理してみました。現場からのありのままの報告です。ご感想などもお寄せいただければ幸いです。【2012年6月6日 二本松農園 代表 齊藤登】

(福島県の位置づけ)
 日本は47の都道府県で構成されているが、福島県は、北海道・岩手県に続き、日本で3番目の面積を持つ大きな県である。福島県は、首都東京の北方約200~300kmの位置にあり、第二次世界大戦後の、日本の高度経済成長期には、多くの若年労働者を東京に送り出し、日本の製造業の発展を支えるとともに、電力供給の面でも、戦後、只見川電源開発(水力)等により、また、1960年代後半からは、東京電力・福島第一原子力発電所6基(定格 470万 kw)、福島第二原子力発電所4基(定格 440万 kw)の稼動により首都圏のエネルギー需用を支えてきた。これらの電力は、福島県内には送電されず、首都圏を中心とする東京電力管内に送電されていた。
 (福島県の農業)
 2009年福島県における農業産出額は全国第7位で、コメの生産量では全国第4位。野菜や果物の栽培も盛んで、福島県はモモの生産量が全国2位で、全国の20%のシェアを誇るほか、日本なしは3位、キュウリ、アスパラガス、かきなどの生産量も多い。これら福島県から生産される農産物のそのほとんどは、東京を中心とする首都圏に送り出されている。いわば、福島県は、「労働力」「電力エネルギー」「食」いずれをとっても、東京を支えてきた面がある。日本の経済成長から言うと、「福島県は、東京の『親』」と称されることがあるくらい、首都圏との結びつきが強い県である。
(福島県の地形)
福島県は、東西に長い形状をしているが、2つの山間部によって、浜通り・中通り・会津の3つの地方に分かれている。東から太平洋沿岸が浜通り、阿武隈高地で隔てて中通り、奥羽山脈で隔てて会津となる。地形的に山間部で隔てられているため、気候風土や風俗にも各地方それぞれ特徴があり、「浜通りは」海と電力、「中通り」は経済的中心、「会津」は、自然と観光、というような特徴がある。
以下、各地方の人口は次のとおりとなっている。
・中通り 1,168,637人
・浜通り  514,600人
・会津   286,615人
(2012年4月1日現在の推計人口。なお、福島県の総人口は1,969,852人)
(東日本大震災と原発事故)
この、首都圏の経済を支えてきた福島県に、2011年3月11日、午後2時46分、東日本大震災が襲ってきた。マグニチュード9、最大深度7。津波により、冷却系の電力を失った東京電力福島第一電子力発電所は、3月12日、1号機水素爆発、14日、3号機水素爆発、15日、水素爆発を起こし、膨大な量の放射性物質が放出された。
原発の地元である浜通りの「大熊町」「浪江町」「富岡町」「南相馬市」等からは、3月11日の夕方以降、主に、中通りを目指して、次々と住民が避難していった。後にこれら避難された人々から話を聞くと「原発が危ないようなので、とにかく避難するように・・・というだけで、状況がまるで分らない中で避難した。最初は2~3日過ぎれば帰れると思っていた。」と誰もが言う。しかし、それから1年以上、今も、そして、これから先も帰れる見込みはたっていない。
(福島県有機農業ネットワーク)
福島県有機農業ネットワークは、会員数80名を有し、福島県内の有機農業者を中心に、農業者、学界、消費者、流通関係者等をメンバーとする団体であり、2009年に福島市で全国規模の有機農業関係の集会があったことをきっかけとして結成された。震災前は、季節ごとに、「有機農法の研究・講習会」の実施、会員相互の情報・交流会を主に開催していた。福島県はもともと、有機農業に関しては、全国の中でも先進県で、たとえば、福島県行政の中にも「有機農業推進室」があり、有機JASの認証機関ともなっている。
福島県有機農業ネットワークの理事長は、福島県(旧)東和町(合併により現在は二本松市に編入)で、主に「米」と「トマト」を栽培する菅野正寿(すげのせいじ)。東和町は、山間部で平地が少なく、農業を営むには厳しい地形であるが、地域の人々が協力して、かねてより、特色ある有機農産物の栽培や加工品の開発・販売を中心としたNPO団体である「ゆうきの里東和」を結成、「地域づくり」に努力してきた。菅野はこれら活動の中心的役割を果たしている。この東和町は、今回の原発事故により計画的避難区域となった「飯館村」や「川俣町の山小屋地区」と似ている部分がある。これらはそれぞれ隣接した地域で、山間部の高地であるため、過去、冷害に悩まされ、農業を営むには厳しい条件の地域であったが、農民・住民の努力により、飯館牛や桑製品等特色ある地域産品を開発するとともに、美しい村づくりを推進し、何とか自立的な生活の安定を目指して努力してきた地域であるということである。ようやく、これら30年にも及ぶ「地域づくり」が実を結ぼうとしていた矢先、今回の震災・原発事故が起きたのである。
事故を起こした福島第一原発の場所では、主に、南東から北西に向かう風が吹いている場合が多い。原発の北西には、浪江・南相馬市・山小屋地区(旧東和町もこれに隣接する)・飯館村・伊達市・福島市がある。風に乗った放射性物質は、これらの地域に多く降り注いだのである。
 菅野正寿は、地域の人々と協力し、震災後いち早く行動を開始した。
 ・浪江町からの避難住民に対する支援(浪江町の避難先は二本松市となっている)
・有機農家は「土」が命。その土が放射性物質に汚染され、途方にくれていた福島県有機農業ネットワーク会員の情報交換・交流会の実施。これらの会合で結論など出なくても、悩む農民が集い、話し合うことは、明日への希望となっていった。
・大学の有機農業学者や研究者と連携し、主に(旧)東和町を中心として、農地の放射能汚染の実態調査。これに基づく、農地の反転耕(セシウムは主に農地の表面にあるため、これを、プラウという農機具を使って、地中30cm程度に閉じ込める方法。)の実施。有機物の施用。(セシウムは、土壌混和により大部分は土壌に吸着され、作物に吸収できない状態になると言われている。同様に有機物にも吸着されるため、可能な限り、たい肥等の施用を行うもの。)ひまわり等による放射性物質の吸収検証。
・市民放射能測定所(福島市)、大学、全国の支援組織と連携した食品中に含まれる放射能の測定体制の整備。これにより(旧)東和町においては、出荷する農産物をすべて測定する体制を整えた。
まさに、菅野は、原発事故の影響に悩む、福島県農家にとってリーダー的役割を担った。。
(風評被害と、その対策としての新しい販売システム)
一方、農作物から放射性物質が検出されなくても、「福島県の農産物はとりあえず食べない」という、いわゆる「風評被害」が広がった。福島県の農民が、土壌の放射能を閉じ込め、有機質を入れ、放射能を測定し安全を確認して流通させようといくら努力しても、全国の消費者が福島県の農産物を基本的に敬遠すれば、福島県農家にとって、打つ手がなくなり、農業経営にとって極めて深刻な事態となる。実は今もそのような状況が続いている。
福島県有機農業ネットワーク事務局長の齊藤登(二本松農園代表)は、風評被害に苦しむ福島県産農産物を車に積み、2011年中、片道250kmの道のりを130回にわたり東京に直接販売を行った。その者は、①福島県産というだけで買わない消費者は約50% ②福島県産農産物は、放射能に関して管理され、実は安全だ、ということが分からなくて、いたずらに避けている、という消費者約30% ③福島県農産物を積極的に食べて応援しよう、という消費者が約20%、という感想を持っている。
原発事故による風評被害は、残念ながら、今後も長く継続し、福島県農業はますます経営的に苦しい状況が続くと予想せざるを得ない。それへの対策と行動としては、③の福島県の農産物を食べて応援しよう!という心ある消費者に直接、福島県農産物を送り届けるシステムを早急につくることである。
具体的には、東京都の荒川区(人口19万人)では、「福島県農産物は安全が確認されているので、ぜひ、区としても積極的に食べて応援したい。」という意向が示されており、2012年6月からは毎週1回のペースで区役所の中で福島県産農産物を販売する予定である。大阪に本社を持つ、大きな人材派遣会社では、有機農業ネットワークのある農家に、社員約200名が毎月定期的に野菜を注文してくださっている。
有機農業ネットワークが提携している、webショップサイトでは、http://www.nihonmatsu-farm.com/ 
震災後1年間で、全国各地から、7000名もの方々にお買い求めをいただいた。このように、今、福島県農業に求められているのは、「福島県農産物を食べて応援したい」という、全国の消費者と直接結びつく、「農家と消費者の顔の見える関係」の流通を早急に構築していくことであると考えられる。チェルノブイリ原発事故から26年が過ぎているが、農業における影響は今も続いていると言われている。福島県農業もこのままでは、先の見えない状況が続く。東京の台所を支えてきた福島県農業を存続させるためには、今こそ、新しい流通システムが必要である。
(被災者の雇用確保)
福島県有機農業ネットワークの事務所は、福島県二本松市にある。浪江町からは
現在2800人が二本松市内に避難し仮設住宅住まいをしている。この方々は、現在「散歩」を日課としている人も多い。これらの方々とお話しをすると、浜通りで農業を行っていた人も多く「早く畑を耕したい」と願う人が多い。津波で親族を失い、原発事故で故郷を追われ、いつ戻れるかも分からない。せめて、畑を耕し、生きる希望を持ってもらいたいものである。原発事故で福島県の他の地域に避難されている方は現在約10万人、県外には約6万人にものぼっている。特に、県内避難者には、継続的な雇用、それも故郷で培ってきた技術を活かす雇用の創出が必要であると考えられる。
原子力は、もしかしたら、人類が手を染めてはならない分野だったのかもしれない。自然の摂理に最も遠いもので、ひとたび暴走すると人間には手に負えなくなり、福島県のように人間の生活を根底から脅かすことなる。一方、有機農法は、自然の摂理に基づく人間の営みである。もしかしたら、原子力と有機農業は、まったく対局に位置するものかもしれない。だからこそ、今回の福島県の原子力災害に関して、その復興の理念を「有機農業」におきたい、と考える。
具体的には、避難者を中心に「有機農業」による雇用の場を創出し、そこから、産出される農産物を、「福島県の野菜を食べて応援したい」と思っている全国の消費者にお届けするシステムをつくりたい。そして、これら消費者の反応と声は、被災地、福島県の農業者の生きる希望にもつながっていく。そのために、放射能をはじめとする、農産物の安全を確認する機器、あるいは生産段階から放射能を抑制するための農業機械も必要である。福島県農業と全国の消費者とが連携し、循環し、持続可能な、有機農業による「福島型システム」をつくりたい。これこそが、福島県農業に希望の光となる。そのような事業を、福島県有機農業ネットワークとして行いたい
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  1. 2012/06/06(水) 22:27:10|
  2. 震災
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コメント

もし、私たちの街や教区で高レベル放射線物質を拡散しようとしたら、いかなる手段をもってしても食い止めてみせる。
そのためには、血を流すことも厭いません。ただし、その時に流れる血は私たちの血では断じてない。
重ねて勘違いしないでほしい。私達があなた方を傷付けて血を流すのではない。
あなた方が、あなた方の強欲さと残忍さゆえにあなた方自身を傷付けて血が流れるのだ。
  1. 2012/06/24(日) 15:19:37 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

さいたま市在住の者だが、某大手スーパー(ジООコ)の食品売り場に、゛福島県産スナックさやエンドウ豆゛と称する物がワゴン一面売れ残っていた。(ワゴン全面鮮やかなグリーンであった)゛福島県産゛にはお客皆全く完全無視であった。これでは、最早、キャンペーン等々程度では焼け石に水である。これが現実である。
  1. 2012/06/29(金) 10:09:19 |
  2. URL |
  3. さいたま #-
  4. [ 編集 ]

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  1. 2012/10/08(月) 16:38:41 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

二本松農園の野菜が本当に安全だと言うデーターください。。

私は、先日二本松農園さんを応援したいとトマトとイチゴを購入しました。 私の周りの人達にも分かってもらいたいとトマトとイチゴを配ったのですが、私には安全基準の知識も放射能についての知識もあまりなく、人を納得させる力がありません。
わかりやすいデーターや、どれだけ安全な農産物なのか何か資料はありませんか?
  1. 2013/03/17(日) 17:25:04 |
  2. URL |
  3. 橋本培子 #CnwvC12Q
  4. [ 編集 ]

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